重金属類には有害性を有する物質が多く、そのため様々な形で規制されています。
ここでは、それぞれの重金属の有害性と法規制について広く紹介することで、 重金属類について、理解を深めていただければと考えています。
鉛とは
鉛は元素記号Pbで表わされる比較的軟らかい金属です。
鉛は古くから広く利用されてきた元素の一つで、用途として、顔料や鉛管、蓄電池、はんだ等として用いられ、また、昔は自動車のノッキングを防ぐ目的として有機鉛がガソリンに添加されていたこともあります。1)
しかしながら、鉛が体内に侵入すると、頭痛やめまい等の中毒症状を引き起こすことが知られています。2) 以下、鉛の有害性等について考えてみましょう。
鉛の病理
鉛による中毒には、慢性中毒の代表的なものとして①神経系、②腎臓、③造血組織に対するものが挙げられます。

①神経系への中毒
鉛は、肺からも消化管からも吸収され、神経や脳などに障害を与え、手首の下垂など、運動機能に症状が現れます。
また鉛中毒に特有の鉛疝痛(せんつう=発作性の激しい腹痛)は、この神経障害により誘発されると考えられています。2)、3)、4)
②腎臓への中毒
腎臓の機能異常が見られます。3)
③造血組織への中毒
造血器障害や貧血が認められています。2)、4)
急性中毒では灼熱性の腹痛や悪心(おしん=気持ちが悪いという症状)、嘔吐、下痢などを示し、最悪の場合、死に至ることが知られています。
鉛に係る法規制等
鉛に係る法規制等は前回の水銀と同様に、やはり非常に厳しく設定されています。
鉛に係る主な規制として、「水質汚濁防止法」において、鉛が「0.01mg/L以下」4)、「RoHS指令(有害物質使用制限令)」においては、「非含有」と定められている5)など、非常に厳しい規制がかけられており、また、食品衛生法では、食品の種類や器具及び容器包装の種類、おもちゃの種類ごとにその規格基準が定められています。