重金属類には有害性を有する物質が多く、そのため様々な形で規制されています。
ここでは、それぞれの重金属の有害性と法規制について広く紹介することで、 重金属類について、理解を深めていただければと考えています。
水銀とは

水銀は元素記号Hgで表わされる金属の中で唯一、常温で液体の性質を持つ金属で、その性質を利用して様々な用途で活用されています。代表的な例として、温度計や血圧計などに用いられています。また、古くは金メッキの時にも水銀が使用されていました。
しかしながら、大量に摂取する事故等がありますと、重篤な健康被害を引き起こすおそれがあります。以下、水銀の有害性等について考えてみましょう。
水銀の病理
水銀による中毒には、無機水銀による中毒と有機(アルキル)水銀による中毒が報告されています。

■無機水銀による中毒
腎臓に対して障害を示し、その結果、腎不全を引き起こすおそれがあります1)。
■有機(アルキル)水銀による中毒
症状としては、視野が狭くなる(視野狭窄)、運動失調などを示し、これらの症状は神経系に障害を与えることによって引き起こされると考えられています。1)2)
有機水銀による中毒では、熊本県や新潟県における水俣病が知られています。
水銀に係る法規制等
水銀に係る法規制等は、有機水銀、総水銀、水銀等として規制されています。
(総水銀とは、無機水銀と有機水銀の総和を示しています。)
水銀に係る主な規制として、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」では、有機水銀のみを規制しており、その基準値は「検出せず」とされています3)。この規制は、一般の家庭用品に有機水銀が殺菌剤等として利用されてきたことに対して、保健衛生上の観点から設けられた規制です。その他にも、「水質汚濁防止法」において、有機水銀が「検出されないこと」、水銀等として「0.005mg/L以下」とされており2)、「RoHS指令(有害物質使用制限令)」においては、「非含有」と定められている4)など、非常に厳しい規制がかけられています。