黄麻(ジュート)について
ジュートは田麻科(しなのきか)に属する一年草の植物。代表的な品種としてホワイトジュートとトッサージュートがある。
原産地
中国と言われ、1795年にロックスバーグ氏によってインドからヨーロッパに伝わった。現在の主産地はインド、中国、バングラディシュ等である。
栽培条件
高温多湿の気候に適しており、2~5月頃に種まきを行い、4ヶ月程で2~3m迄成長し、9月頃に刈り取る。
特 徴
ジュートはドンゴロスといわれる粗い穀物袋などに使用されているがラフな感触が魅力になっている。衣料品に使用されない理由として繊維に弾力性がなく、繊維が硬く、長繊維ではないので脱落してしまう。
用 途
米、麦、大豆等の穀物の輸送用、保存用の布袋、カーペットの基布、畳糸のたて糸、帽子等幅広く使用されている。
ジュートの顕微鏡写真について |
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洋麻(ケナフ)について
ケナフはアオイ科フヨウ属の一年草で、洋麻、紅麻等の色々な名称で呼ばれている。大別してキューバケナフとタイケナフの2種類あり、産地は中国、アメリカ、ミャンマー、ラオス、タイ、などで栽培されている。
原産地
ケナフの歴史は古く、アレキサンドリアで4000年前のリネンの種子が見つかったと同様に西アフリカで4000年前にケナフが発見されていたと言われている。ケナフの語源は、ペルシャ語で「麻」を意味する。
栽培条件
ケナフは元来熱帯原産であるが、大抵の畑・水田でも栽培できる。茎の太さ約3~5cm、茎の高さは3~5m、時には10mに達する。藩種後4~5ヶ月で収穫される。
特 徴
衣料品でのケナフ混紡使いの製品は、シャリ感、ムレを感じさせない等の触感を有する。 衣料用以外では、他の植物よりも単位面積当りの収量が最も高く成長も早くて、製紙原料として注目されている。又、二酸化炭素をヒノキの約3倍吸収し、炭になれば、吸湿・吸臭性に優れるているので、土壌改良剤や脱臭剤等としての利用もされている。
用 途
ケナフはジュートの代替品として使用され、雑穀、産業用の麻袋、荷造り用の麻紐、農業用バインダー紐、樹木用根巻等に使用されている。
ケナフの顕微鏡写真について |
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カポックについて
パンヤ科・パンヤノキ属の喬木の蒴(さく)果から採取できる繊維である。カポックのことを別名パンヤとも言うが、同じパンヤ科のキワタとは異なる繊維である。ちなみに、カポックはマレー語で「繊維」の意味。
原産地
アメリカの熱帯地方あるいはスリランカ地方の原産とも言われている。現在の主産地はインドネシアであり、その他インド、タイ、フィリピン等の東半球の熱帯地方に多く栽培されている。
栽培条件
巨大樹木(高さは15~30m)の蒴(さく)果は紡錘状になっておりこの蒴果の表皮細胞の突出成長したのがカポックである。3~4ヶ月で成熟し、蒴が褐色になり、その表面にしわができると蒴を破って繊維が取れる。一つの蒴果から平均4.5gの繊維が取れる。採取後、天日干しをして、圧縮梱包し輸送される。
特 徴
1.断面が円筒状(中空率70~80%)で比重が軽い。
2.手触りは非常にツルツルしていて疎水性があり水中の油だけを吸着。
3.保温性、弾力性に富む。
用 途
繊維が中空構造疎で疎水性があるため自己の重量の35倍の量を浮かせることができる。浸水後一ヵ月でも26倍もの量を浮かせることができる性質のため、代表的に救命胴着の充填材に使われる。その他、枕綿、布団綿の代用品として使われる。
カポックの顕微鏡写真について |
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